フレームワーク

マンダラチャートのやり方|目標達成・アイデア発想に使える実践法

マンダラチャートのやり方|目標達成・アイデア発想に使える実践法

「目標を達成したいが、何から手をつければいいか分からない」「新しいアイデアが欲しいけれど、思考がまとまらない」——。

そんな悩みを抱えていませんか?マンダラチャート(マンダラート)は、思考を整理し、具体的な行動を引き出すための強力なフレームワークです。

この記事では、マンダラチャート(マンダラート)の正しいやり方と、目標達成やアイデア発想に活かす実践法を図解と共に徹底的に解説します。

この記事でわかること

  • マンダラート(マンダラチャート)の正しい作り方(やり方)の全手順
  • 大谷翔平選手も実践した、目標達成に活かす具体的な活用事例
  • アイデア発想や問題解決を「行動」に変えるための実践的なコツ

マンダラチャート(マンダラート)とは?仕組みと活用の目的

マンダラチャート(マンダラート)とは、3×3の合計9マス(またはそれを発展させた9×9の81マス)を使い、中心に据えたテーマから思考を放射状に広げていく発想法・思考整理ツールです。「マンダラ(Manda + La)」=「本質を得る」という意味が語源とも言われ、思考の全体像と詳細を一覧化できるのが特徴です。

マンダラートの基本構造と意味

マンダラートの基本は、3×3の9マスです。

  1. 中心のマス: 最も重要なメインテーマ、達成したい目標を書きます。
  2. 周囲の8マス: メインテーマを達成するために必要な要素、またはそこから連想されるアイデアを書きます。

この9マスを1つの「セル」と考え、さらに発展させたのが、プロ野球選手の大谷翔平選手が活用したことで有名になった81マス(9×9)のマンダラチャートです。

  • 81マスのやり方は、まず中央の3×3の中心に「大テーマ」を置きます。
  • その周囲の8マスに「中テーマ(要素)」を書き出します。
  • そして、その8つの「中テーマ」を、周囲にある8つの3×3マスの中心にそれぞれ転記します。最後に、転記された各中テーマを達成するための「小テーマ(具体的な行動・アイデア)」を、さらにその周囲の8マスに書き込んでいきます。

この構造により、抽象的な目標(大テーマ)が、具体的な行動(小テーマ)レベルまで一気に分解・可視化されます。

目標達成やアイデア発想に活かせる理由

マンダラチャート(マンダラート)が目標達成やアイデア発想に有効な理由は、主に以下の2点です。

  1. 思考の「強制的な拡張」中心テーマに対して「8つの要素」を無理やりにでも捻り出すプロセスが、思考の枠を広げます。通常の思考では見落としがちな側面や、多角的な視点を持つことを助けてくれます。アイデア発想においては、この強制力が新しい結合を生み出します。
  2. 「全体像」と「具体策」の同時把握目標達成において「何をすべきか」が曖昧だと行動に移せません。マンダラートのやり方を実践すると、「大目標(中心)」「それを支える中項目(周囲8マス)」「具体的なアクション(外側の64マス)」が一覧できます。全体像を見失わずに、日々の具体的なタスク(小項目)に取り組めるため、着実な目標達成が可能になります。

ビジネス・自己啓発・教育での活用事例

マンダラチャート(マンダラート)のやり方は、非常に汎用性が高いのが特徴です。

活用シーン具体的な活用例
ビジネス・新規事業立案(アイデア出し、事業計画)
・マーケティング戦略(施策の洗い出し)
・業務改善(問題点の分解と対策立案)
・個人の営業目標達成計画
自己啓発・資格取得のための学習計画
・人生設計(やりたいことリストの具体化)
・スキルの棚卸しと習得計画
・(例)大谷翔平選手の目標達成シート
教育・夏休みの自由研究のテーマ決め
・学習計画(苦手科目の克服)
・進路相談(自己分析)

マンダラチャート(マンダラート)の作り方

ここでは、最も一般的で強力な81マス(9×9)のマンダラチャート(マンダラート)の作り方・やり方を解説します。

中心テーマ(目的)の設定方法

まず、81マスのど真ん中に「大テーマ」を設定します。これがマンダラート全体の核となります。

  • 目標達成の場合
    できるだけ具体的に書きます。「ダイエットする」ではなく「3ヶ月後に5kg痩せる」、「売上を上げる」ではなく「今期売上1億円を達成する」など、期限や数値を明確にします。
  • アイデア発想の場合
    「新商品のアイデア」といった漠然としたものでも構いませんが、「Z世代向けの新しいSNS」のように少し絞ると、後の要素が出やすくなります。
  • 問題解決の場合
    「残業時間を月20時間削減する」など、解決したい課題を明確に記述します。

8つの要素を広げるステップ

大テーマが決まったら、いよいよマンダラチャート(マンダラート)のやり方の核心部に入ります。

ステップ1:中心の9マスを埋める(中テーマの決定)

大テーマ(中心)を達成するために必要な「中テーマ(要素)」を8つ考え、中心の3×3の周囲8マスに書き込みます。

  • 例(大テーマ:売上1億円達成):
    • 「新規顧客開拓」「既存顧客深耕」「商品力強化」「マーケティング」「営業体制強化」「コスト削減」「人材育成」「業務効率化」

ステップ2:中テーマを外側のマスに転記する

ステップ1で書き出した8つの「中テーマ」を、外側にある8つの3×3マスの中心に、それぞれ転記(コピー)します。

ステップ3:各中テーマを深掘りする(小テーマの決定)

転記した8つの「中テーマ」それぞれについて、それを達成するための「小テーマ(具体的な行動・アイデア)」を8つずつ、周囲の8マスに書き込んでいきます。

  • 例(中テーマ:新規顧客開拓):
    • 「Web広告の出稿」「SEO対策の強化」「展示会への出展」「テレアポ(月100件)」「紹介キャンペーンの実施」「異業種交流会への参加」「SNSでの情報発信」「プレスリリースの配信」

これを8つの中テーマすべてで行うと、8×8=64個の具体的な行動・アイデア(小テーマ)が完成します。

各マスを埋める際のコツと考え方

マンダラチャート(マンダラート)のやり方でつまずきやすいのが、「8マスも埋まらない」という点です。

  • 質より量を優先する
    まずはマスを埋めることを最優先します。「こんなこと書いていいかな?」と悩まず、連想ゲームのように書き出しましょう。
  • 「5W1H」で考える
    どうしても出ない時は、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どうやって)」の切り口で考えてみると、アイデアが出やすくなります。
  • 空白を恐れない
    無理に8マスすべてを埋めなくても構いません。空白は「まだ考える余地がある」というサインです。後日見返して追加しても良いのです。
  • 重複を気にしない
    別の場所で似たような行動が出ても構いません。それは、その行動の重要度が高いことを示しています。

マンダラートのやり方を実践|具体例でわかる思考整理の手順

マンダラチャート(マンダラート)のやり方を、具体的なシーン別に見ていきましょう。

目標達成編:大谷翔平選手の実例に学ぶ使い方

出典:スポニチ|花巻東時代に大谷が立てた目標シート

大谷選手は高校1年生の時、目標達成シートとしてマンダラチャート(マンダラート)を作成しました。

  • 大テーマ(中心): ドラフト1位 8球団
  • 中テーマ(8要素):
    1. 体づくり
    2. コントロール
    3. キレ
    4. メンタル
    5. スピード160km/h
    6. 人間性
    7. 変化球
  • 小テーマ(具体策):
    • 「体づくり」の小テーマ:「サプリメントを飲む」「食事(夜7杯、朝3杯)」「柔軟性」など。
    • 「運」の小テーマ:「ゴミ拾い」「部屋掃除」「挨拶」「審判さんへの態度」など。

注目すべきは、「人間性」や「運」といった、一見野球の技術と無関係に見える要素を中テーマに設定し、それを高めるための具体的な行動(ゴミ拾いなど)まで落とし込んでいる点です。これがマンダラチャート(マンダラート)のやり方が単なる思考整理に留まらず、行動変容を促す強力なツールである証左です。

アイデア発想編:新商品開発・企画立案に使う方法

ビジネスシーンでのアイデア発想にも、このやり方は有効です。

  • 大テーマ(中心): 働く女性向け「サブスク型ランチ宅配サービス」
  • 中テーマ(8要素):
    1. ターゲット
    2. メニュー
    3. 価格・課金
    4. 配送システム
    5. 競合優位性
    6. プロモーション
    7. UI/UX(アプリ)
    8. 提携先
  • 小テーマ(具体策):
    • 「メニュー」の小テーマ:「低糖質」「野菜多め」「有名シェフ監修」「アレルギー対応」「週替り」「選べるオプション」「冷凍・常温」「デザート」
    • 「プロモーション」の小テーマ:「インスタ広告」「インフルエンサー試食」「初回半額」「友達紹介割」「OL向けメディア掲載」「オフィスへチラシ」「プレスリリース」「WebCM」

このように、事業計画の骨子となる8つの要素(中テーマ)を立て、それぞれで具体的なアイデア(小テーマ)を64個出すことで、企画の解像度が一気に上がります。

- 問題解決編:課題を分解して行動計画を立てる手順

課題を分解し、具体的な解決策(ToDo)に落とし込むやり方です。

  • 大テーマ(中心): Webサイトの直帰率を30%改善する
  • 中テーマ(8要素):
    1. 現状分析
    2. ページ速度改善
    3. コンテンツ改善
    4. 内部リンク最適化
    5. デザイン改善
    6. スマホ対応
    7. CTA(導線)
    8. 外部要因調査
  • 小テーマ(具体策):
    • 「ページ速度改善」の小テーマ:「画像圧縮」「キャッシュ設定見直し」「不要なJS削除」「サーバー見直し」「AMP対応検討」「Core Web Vitals計測」「CDN導入」「フォント読込最適化」

漠然とした「直帰率改善」という課題が、8つのアプローチ(中テーマ)と64個の具体的な施策(小テーマ)に分解され、誰が何から手をつけるべきかが明確になります。

マンダラートを効果的に使うコツと注意点

マンダラチャート(マンダラート)は「作って終わり」では意味がありません。そのやり方を習得し、行動に移してこそ価値が生まれます。

継続的に活用するための習慣化テクニック

  • 常に目に入る場所に置く:作成したマンダラートは、手帳の最初のページ、PCのデスクトップの壁紙、オフィスのデスクマットの下など、毎日必ず目に入る場所に貼りましょう。意識に刷り込むことが重要です。
  • 定期的に見直す(レビューする):週に一度(例:日曜日の夜、月曜日の朝会)はマンダラートを見返し、「今週取り組む小テーマ(行動)」を3つ決める、といったルールを作ります。
  • 完了したら色を塗る:実行した小テーマのマスを塗りつぶしていくと、進捗が可視化され、モチベーション維持に繋がります。

書き出すだけで終わらせない行動変換のポイント

マンダラートの本質は、64個の「具体的な行動(小テーマ)」にあります。

  • 小項目をToDoリストに転記する:64個の小テーマを、そのままタスク管理ツール(Trello, Asana, Notionなど)や手帳のToDoリストに落とし込みます。
  • 「すぐできること」から始める:64個の中には、「すぐできること」と「時間がかかること」が混在しています。まずは「ゴミ拾い」や「挨拶」のように、5分でできることから始め、行動のハードルを下げましょう。
  • 担当者と期限(5W1H)を決める:ビジネスで使う場合は特に、64個の小テーマ(行動)それぞれに「誰が(Who)」「いつまでに(When)」実行するかを決め、具体的な行動計画に昇華させることが重要です。

よくある失敗例と改善方法

よくある失敗例改善方法
マスを埋めることが目的化する埋めること自体にも思考の整理効果はありますが、あくまでスタートです。埋めた後に「どれから実行するか」を考えるプロセスが重要です。
中心テーマ(大テーマ)が曖昧「幸せになる」など抽象的すぎると、中テーマや小テーマも曖昧になります。「〇〇のスキルを習得し、副業で月5万円稼ぐ」など、できるだけ具体的に設定し直します。
小テーマが「行動」になっていない小テーマが「体力」「根性」といった「状態」や「概念」になっているケース。そうではなく、「毎日腹筋30回」「嫌なことがあっても笑顔で対応」など、具体的な「行動」に変換するやり方を意識します。
一度作って見返さない最も多い失敗です。「継続的に活用するテクニック」で述べたように、壁に貼る、スケジュールに組み込むなど、強制的に見返す仕組みを作りましょう。

まとめ|マンダラチャート(マンダラート)のやり方を習得して思考を可視化しよう

マンダラートの本質は「構造化思考×行動計画」

マンダラチャート(マンダラート)は、単なる発想ツールではありません。その本質は、曖昧な思考を「構造化」し、それを具体的な「行動計画」に落とし込むための実践的なフレームワークです。

9×9のマスが、あなたの頭の中にある漠然とした「目標」や「アイデア」を強制的に引き出し、整理し、実行可能なレベルまで分解してくれます。

目標達成や発想の質を高める最初の一歩を踏み出そう

この記事で紹介したマンダラチャート(マンダラート)のやり方は、決して難しいものではありません。必要なのは、紙とペン(あるいはテンプレート)と、自分自身と向き合う時間だけです。

まずは、小さなテーマで構いません。「今週末の過ごし方」や「一つの業務の改善」といったテーマで、9マスのマンダラートから始めてみてください。思考が整理され、次の一歩が明確になる感覚を掴めるはずです。

マンダラチャート(マンダラート)という強力な武器のやり方を習得し、あなたの目標達成とアイデア創造を加速させましょう。

  • この記事を書いた人

ZIDAI Notebook 編集部

新規事業開発支援、生成AIを活用したDX支援を実施する株式会社ZIDAIの事業開発、AI情報メディア「ZIDAI Notebook」。 多くの事業開発やAIを活用した開発を行ってきたBizDev、エンジニアの監修の元、情報をお届けします。

-フレームワーク