GLM-5.3の凄さと危うさは、同じ一つの能力から来ています。Z.ai(旧Zhipu AI、本社は北京)が2026年8月14日に発表したGLM-5.3は、コーディングと脆弱性(ソフトウェアの欠陥)の発見で、オープンウェイト(重みが公開され、誰でもダウンロードして動かせるモデル)として最高水準の成績を出しました。
欠陥を見つける力は、そのまま攻撃にも使えます。Anthropicは2026年9月29日の分析で、GLM-5.3の安全策が偽の演習設定では64%、別の手法では92%の確率で突破できたと報告しました。
結論から言うと、個人が使うこと自体は現実的な選択肢です。ただし「何を入れるか」と「どこで動かすか」は、自分で決めることになります。安くて強いと聞くけれど、中国製のAIに自分のコードを入れてよいのか。そう迷っている方に向けて、本記事では2026年10月9日時点の一次情報(Z.ai公式、Anthropic、米国NISTのCAISI、ライセンス原文)をもとに、凄さ4つ、危うさ5つ、無料で試す方法、安全に使う5つの条件を整理します。
【結論】コーディングの実力は本物。ただし「何を入れるか」と「どこで動かすか」を選ぶ

迷ったときの判断は、次の3つで足ります。
- 凄さは本物です。オープンウェイトではコーディングで最高水準、脆弱性の発見ではAnthropicのMythos 5やOpenAIのGPT-5.6 Solを上回る数字をZ.aiは公表しています。API料金はClaude Opus 5.5の数分の一です
- 危うさも本物です。攻撃にも使えるサイバー能力が、安全策が弱いまま誰でも入手できる形で出ました。データはシンガポールの法人が管理しますが、2026年9月にはZ.aiの開発ツールZCodeが利用者のファイルを無断で送信する事故も起きています
- 個人の使い方は「公開されても困らない内容」に絞るのが基本です。無料のchat.z.aiか月18ドルからのCoding Planで試し、個人情報・仕事の機密・他人のコードは入れないでください
GLM-5.3とは?Z.aiが「サイバー能力が想定より速く伸びた」と認めたモデル
GLM-5.3とは、中国のAI企業Z.aiが2026年8月14日に発表した大規模言語モデルで、前世代のGLM-5.2と同じベースモデルに追加学習(post-training)だけを施して、コーディング・長時間タスク・サイバーセキュリティの能力を伸ばしたものです。Z.aiは2019年に清華大学から生まれた企業で、2025年1月に米国商務省のEntity List(輸出規制の対象リスト)に加えられ、2026年1月8日に香港証券取引所へ上場しました。
基本情報【比較表】
| 項目 | GLM-5.3 | GLM-5.3-Flash |
|---|---|---|
| 発表日 | 2026年8月14日 | 2026年8月26日 |
| 開発元 | Z.ai(旧Zhipu AI、本社北京) | 同左 |
| 規模 | 総パラメータ753B(MoE、アクティブ約40B) | 総パラメータ320B(アクティブ18B) |
| 入力 | テキストのみ | 画像+テキスト(GLM-5シリーズ初のマルチモーダル) |
| コンテキスト長/最大出力 | 100万トークン/12.8万トークン | 公式ドキュメント参照 |
| API料金(100万トークンあたり) | 入力$1.4/出力$4.4/キャッシュ入力$0.26 | 入力$0.15/出力$0.50 |
| 思考(thinking)モード | 常時オン。low/high/maxから選ぶ(既定はmax)。オフにはできない | 同左 |
| 重み(ウェイト) | 公開済み(Hugging Face) | 公開済み |
| ライセンス | GLM-5.3 License(MIT型に独自条項を追加) | MIT |
出典:Z.ai公式ブログ、Z.ai開発者ドキュメント、Z.ai料金ページ、Hugging Face(GLM-5.3)、Hugging Face(GLM-5.3-Flash)、Artificial Analysis(2026年10月9日確認)
GLM-5.2から何が変わった?学習のやり直しなしで伸びた理由
Z.aiは公式ブログで「Scaling post-training is all we did for GLM-5.3(GLM-5.3でやったのは追加学習の拡大だけ)」と書いています。ベースモデルは2026年6月16日公開のGLM-5.2と同じで、約1か月のあいだ学習環境と計算資源を追加学習に注ぎ込んだ結果が、次の伸びです。
- Terminal-Bench 3.0(端末操作でのコーディング課題):4.6→28.3
- DeepSWE v1.1(実際のソフトウェア修正課題):46.2→66.9
- Agents' Last Exam(CLIでのエージェント課題):23.8→28.5
もう一つの変化が、Z.ai自身が「想定外」と呼んだ部分です。追加学習に脆弱性発見のデータを混ぜたところ、「cyber capability developed faster than we expected(サイバー能力が想定より速く発達した)」と公式ブログは述べています。このため、Z.aiは重みの公開を発表から2週間遅らせ、安全評価と強化を行うと説明しました。
利用者側の変更点も一つあります。GLM-5.2まで可能だった思考モードのオフ(thinking.type: disabled)が、GLM-5.3では使えません。既存のアプリで思考をオフにしていた場合は、設定を変えないとリクエストが失敗します。
GLM-5.3の凄さ4つ
1. オープンウェイトではコーディング最高水準
GLM-5.3は、Z.aiの社内評価Z.ai Code BenchでGLM-5.2より50%高い成績を出し、公開ベンチマークのTerminal-Bench 3.0とAgents' Last Examでもオープンソースモデルの最高値を更新したと公式ブログは述べています。Terminal-Bench 3.0の28.3は、同じく中国発のオープンウェイトであるKimi K3(17.4)やClaude Opus 4.8(21.1)を上回る一方、Claude Fable 5(33.7)やGPT-5.6 Sol(34.6)には届いていません。GPT-5.6 SolがどんなモデルかはGPT-5.6の解説記事で扱っています。
独立評価機関のArtificial Analysisでも、GLM-5.3はIntelligence Index(v4.3.2)で45点を記録し、同クラス117モデル中2位でした(2026年10月9日確認)。「オープンウェイトの中ではトップ級、閉じた最先端モデルには一歩届かない」というのが、公表値から読み取れる位置づけです。
2. 脆弱性の発見ではMythos 5とGPT-5.6 Solを上回る
脆弱性を見つける課題CyberGym(ソースコードを読んで欠陥を特定し、実際に不具合を起こして検証する)では、GLM-5.3が84.5%で最高値でした。Z.aiの公式ブログは、AnthropicのMythos 5(83.8%)とOpenAIのGPT-5.6 Sol(83.6%)を上回ったとしています。
実際のコードに対する成果も公表されています。Z.aiは中国の複数のセキュリティチームと組み、269のオープンソースプロジェクトで2,436件の脆弱性を特定し、うち1,097件が中〜高の深刻度だったと述べています。最も古い欠陥は1981年に作り込まれたもので、見つかるまでの平均は26.6年でした。公式ブログの集計(2026年10月9日閲覧時点)では公開済みが53件で、残る2,383件は修正が終わるまで非公開(エンバーゴ)です。
この力は、守る側にとっても価値があります。Anthropicも分析の中で「these capabilities can also benefit defenders(この能力は防御側の役にも立つ)」と認めています。自分が書いたコードの欠陥を先に見つける用途なら、個人にとっても実益のある機能です。
3. 少ないトークンで同等以上、料金はClaude Opusより安い
Z.aiの公表値では、GLM-5.3はhigh設定のとき約5万トークンの出力でZ.ai Code Benchの31.4%に達し、約12万トークンを使うClaude Opus 4.8の29.5%を上回りました。同じ課題を半分以下のトークンで解いている計算です。ただし、max設定のClaude Fable 5は39.5%で、GLM-5.3のmax設定(34.5%)より上です。
API料金は入力100万トークンあたり1.4ドル、出力4.4ドルで、GLM-5.2から据え置きです。Anthropicの主力モデルClaude Opus 5.5(入力4ドル/出力20ドル)と比べると、入力で約3分の1、出力で約5分の1です。正直、この差はかなり大きいです。

4. 重みが公開され、自分の環境でも動かせる
GLM-5.3の重みは、発表から2週間後にHugging Faceで公開されました。自分のサーバーや手元の機材で動かせば、入力した内容はZ.aiのサーバーに送られません。中国製のAIを使う上で最も大きな不安を、仕組みの側で消せるのがオープンウェイトの利点です。
ただし、本体は総パラメータ753Bの大型モデルです。量子化ツールを提供するUnslothの公式ガイドでは、2ビット量子化(精度を落として小さくする手法)でもRAMとVRAMを合わせて約245GBが必要で、一般的なパソコンでは動きません。MITライセンスで公開されたGLM-5.3-Flash(320B、アクティブ18B)でも2ビット量子化で約115GBとされ、手元で動かすならメモリの大きいMac Studioや専用機が前提です。llama.cpp・Ollama・LM Studio向けの量子化版はHugging Faceで公開されています。

主要なベンチマークをZ.aiの公表値で並べると、次のようになります。
| ベンチマーク | GLM-5.2 | GLM-5.3 | Kimi K3 | Claude Opus 4.8 | Fable 5(w/ fallback) | GPT-5.6 Sol |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Terminal-Bench 3.0 | 4.6 | 28.3 | 17.4 | 21.1 | 33.7 | 34.6 |
| DeepSWE v1.1 | 46.2 | 66.9 | 67.5 | 58.0 | 69.7 | 72.7 |
| CyberGym | 77.2 | 84.5 | 80.0 | 78.1 | 83.8 | 83.6 |
| ExploitBench | 24.4 | 54.4 | 32.2 | 40.0 | 78.0 | 76.5 |
| ExploitGym(2時間/6時間で完了した課題数) | 29/39 | 105/130 | 36/70 | 80/120 | 181/247 | 216/293 |
| AutomationBench v1.0.6 | 26.2 | 48.2 | 46.7 | 41.0 | 46.2 | 45.8 |
| HLE w/ Tools | 54.7 | 62.5 | 59.8 | 57.9 | 63.9 | 64.5 |
出典:Z.ai公式ブログ「GLM-5.3」の比較表(2026年8月14日公開)。表の「Fable 5(w/ fallback)」列の値を、Z.aiは本文でMythos 5の値として説明しています
GLM-5.3の危うさ5つ
1. 攻撃にも使える能力が、安全策が弱いまま誰の手にも渡った

Anthropicは2026年9月29日に「GLM-5.3 and the spread of advanced cyber capabilities」という分析を公開しました。要点は3つです。
- Chromeの心臓部であるV8エンジンを対象にしたExploitBenchで、GLM-5.3は410回中50回、完全な攻撃コードを作りました。Anthropicが限定公開しているClaude Mythos Previewは56回で、ほぼ同じ水準です
- 安全策は突破できました。偽の演習設定を装う方法で64%、推論トークンを先に埋める方法で92%、拒否を取り除く改造(abliteration)では100%です。改造版は公開から数日で出回ったと記されています
- 小型版のGLM-5.3-Flashに公開済みのChromeの脆弱性情報を与えたところ、人の作業20分とモデルの作業8時間で、ハードウェアの防御(ポインタ認証)を回避する攻撃コードができました。API料金に換算して20.40ドルです

Anthropicはこの状況を「released without meaningful safeguards to limit misuse(悪用を防ぐ意味のある安全策なしに公開された)」と表現しています。Anthropicは競合企業なので読み方には注意が要りますが、能力の評価については米国政府機関のCAISI(後述)も同じ方向の結論を出しています。Mythos 5.1を限定公開にとどめているAnthropicの考え方はClaude Fable 5.1の解説記事で触れています。
2. Z.ai自身が「想定より速く伸びた」と認め、公開を2週間遅らせた
Z.aiはこの能力を隠していません。公式ブログでサイバー能力が「想定より速く発達した」と述べ、「safety evaluation and hardening(安全評価と強化)」が終わるまで重みの公開を2週間遅らせました。eWEEKの報道によると、Z.aiは攻撃に関わる機能を審査済みのセキュリティパートナーに限定して提供する「trusted access program」も用意し、Xでは「An open world cannot have only open attack surfaces. It must also have an open shield.(開かれた世界は、攻撃面だけ開いていてはいけない。開かれた盾も必要だ)」と投稿しています。
問題は、2週間の猶予と安全策が、公開後に何を防げたかです。Anthropicの分析では、拒否を取り除いた改造版が公開から数日で出回っています。重みを公開した時点で、安全策は利用者の側で外せるものになります。これはGLM-5.3に限らず、オープンウェイト全般が抱える構造です。
3. データの行き先はシンガポール管理。それでも中国法の影響とZCode事故は残る
Z.aiの海外向けサービスのプライバシーポリシー(開発者向けサイトに掲載、2025年9月29日更新)では、データ管理者はシンガポール法人のJINGSHENG HENGXING TECHNOLOGY PTE.LTDで、個人データは原則シンガポールで処理されます。API利用者については、付属のデータ処理契約に「do not store any of the content(利用者が提供・生成したコンテンツは保存しない)」と書かれています。一方、一般ユーザーのデータは「train and improve our models(モデルの学習と改善)」の目的で使われる可能性があり、法執行機関や政府機関への開示規定もあります。
中国製AIのデータ保存先については、日本の個人情報保護委員会が2025年2月3日にDeepSeekについて「中国国内のサーバーに保存される」「国家情報法などが適用される」と情報提供をした例があります。Z.aiのシンガポール法人という建て付けはDeepSeekとは異なりますが、親会社が北京の企業である事実は変わりません。
2026年9月には、Z.aiの開発ツールZCodeで事故も起きました。開発者のferstar氏が9月18日に公開した分析によると、ZCodeは利用者の作業フォルダ全体(Git履歴を含む313MB・42,411ファイル)を暗号化してAlibaba Cloudのバケットに送ろうとしており、設定でも止められませんでした。Z.aiは3日後に「sincerely apologize to all our users(すべての利用者に心から謝罪する)」と表明し、v3.14.0で該当機能を削除、中国情報通信研究院(CAICT)とNSFOCUSがデータ削除を確認したと発表しています。The Next Webは、事故がいつから起きていたのか、何件の作業環境が送られたのかは明らかになっていないと指摘しています。
4. ライセンスはMITではなくなった(売上100億ドル条項)
GLM-5.2までの重みはMITライセンス(商用利用・改変・再配布を自由に認める最も緩い形式の一つ)でした。GLM-5.3は独自の「GLM-5.3 License」に変わっています。許諾の範囲はMITとほぼ同じで、使用・複製・改変・配布・販売・ファインチューニング・派生物の作成が認められています。
追加されたのは第2条です。原文を要約すると、「Model as a Service(APIなどでモデルを第三者に提供する事業)を営み、関連会社を含む売上が連続する12か月で100億米ドルを超える場合、商用利用の前にZ.AIのセキュリティレビューに合格しなければならない」という条件です。審査の範囲と方法は「Z.AIが合理的に決定する」とされ、基準や期間は書かれていません。
個人や中小企業には実質的な影響はありません。ただし、GLM-5.3-FlashはMITのままで、本体だけ条件が変わったこと、そしてリリースごとにライセンスが変わり得ることは知っておく価値があります。
5. 数字の多くはZ.ai自己申告。NIST CAISIでは米国最高値に大差
GLM-5.3の「凄さ」を示す数字の多くは、Z.aiが自社で測った値です。Z.ai Code Benchは非公開のベンチマークで、第三者は追試できません。公開ベンチマークも、測定条件(使うハーネス、思考の深さ、タイムアウト)はZ.aiが決めています。
米国NISTのAI標準・イノベーションセンター(CAISI)は2026年9月17日に独自評価を公表し、GLM-5.3を「the most cyber-capable open-weight model released to date(これまで公開されたオープンウェイトで最もサイバー能力が高いモデル)」と評価しました。同時に、米国のフロンティアモデルとの差は「significantly lower(大幅に低い)」で、集計指標では約4か月遅れとしています。
| ベンチマーク(CAISI) | GLM-5.3 | 米国フロンティア最高値 | 従来の中国最高値 |
|---|---|---|---|
| SEC-Bench Pro | 40.4% | 90.2% | 27.3% |
| ExploitBench | 61.1% | 100.0% | 32.2% |
| ExploitGym(Userspace) | 9.4% | 44.4% | 2.6% |
| OSS-Fuzz(CAISI非公開) | 7.7% | 23.2% | 2.4% |
出典:NIST「CAISI's Assessment of Z.ai's GLM-5.3 Cyber Capabilities」(2026年9月17日)。米国モデルは安全策を外した状態で測定、限定公開モデルを含む

「約4か月」は、過去のモデルの公開時期と難易度から作った指標上の位置であり、4か月後に追いつくという予測ではありません。GLM-5.3の実力を読むときは、Z.aiの公表値とCAISIの値の両方を見るのが安全です。

GLM-5.3を使う4つの経路と料金(無料チャット・Coding Plan・API・ローカル)

個人がGLM-5.3に触れる経路は4つあります。どの経路を選ぶかで、料金だけでなく「入力した内容がどこに行くか」が変わります。
| 経路 | 料金 | 入力内容の行き先 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| chat.z.ai(ブラウザのチャット) | 無料(2026年10月9日確認時の既定モデルはGLM-5.3-Flash) | シンガポールのZ.ai法人が管理。一般ユーザーのデータは学習・改善に使われる可能性 | 性能を試す。公開されても困らない質問や学習用コード |
| GLM Coding Plan(定額) | Lite 月18ドル、Pro 月80ドル、Max 月168ドル(年払いは30%引き) | 同上。ZCodeは常駐ツールのため権限に注意 | Claude Code・Cline・OpenCode・ZCodeなどで本格的にコードを書く |
| API(従量課金) | 入力$1.4/出力$4.4(100万トークンあたり)。Flashは$0.15/$0.50 | データ処理契約上は「保存しない」 | 自作アプリへの組み込み |
| ローカル実行(重みをダウンロード) | 無料(機材費は別) | 自分の端末の外に出ない | 機密を含むコードの検証。メモリは本体が2ビット量子化でも約245GB、Flashでも約115GBが目安 |
出典:Z.ai料金ページ、GLM Coding Plan公式ドキュメント、GLM Coding Plan購読ページ(月額)、Z.aiプライバシーポリシー(2026年10月9日確認)

無料で試すならchat.z.aiです。2026年10月9日にログインなしで開いた時点では、既定のモデルがGLM-5.3-Flashでした。本体のGLM-5.3が選べるかは、ログイン状態や時期で変わります。なお、「GLM-5.3を無料で」とうたうサイトの中にはZ.aiと無関係のものがあるため、URLがchat.z.aiかどうかを確認してください。
定額のGLM Coding Planは、5時間ごとと週ごとの2つの枠でクレジットが回復する仕組みです。Liteは5時間あたり2,000クレジット、Proは12,000、Maxは28,000で、月〜金の14〜18時(シンガポール時間)以外は消費が半分になります。全プランでGLM-5.3とGLM-5.3-Flashが使えます。ClaudeのProやMaxとの使い分けを考えている方は、Claude FableとOpusの使い分け記事も参考になります。

個人がGLM-5.3を安全に使う5つの条件

条件1. 入れない情報を先に決める
氏名・住所・顔写真などの個人情報、勤務先の資料やソースコード、取引先の情報、APIキーやパスワードは入れないでください。これはGLM-5.3に限った話ではありませんが、学習に使われる可能性が明記され、法執行機関への開示規定もある海外サービスでは、特に線を引いておきたいところです。
条件2. 用途を「公開されても困らないこと」に絞る
学習用のコード、自分の趣味のプロジェクト、オープンソースのコード、一般的な質問。こうした「漏れても困らない」用途なら、GLM-5.3の安さと性能をそのまま享受できます。逆に、会社の業務で使いたい場合は、会社のAI利用ルールの範囲で判断してください。
条件3. 経路は「試すならチャット、本気ならAPIかCoding Plan、出したくないならローカル」
性能を知りたいだけならchat.z.aiで足ります。コードを継続的に書くならCoding PlanかAPIを選び、データ処理契約の「保存しない」条件を確認してください。入力内容を外に出したくないなら、GLM-5.3-Flashの量子化版を手元で動かす選択肢がありますが、メモリ115GB級の機材が要ります。
条件4. 常駐する開発ツールは権限と設定を確認し、最新版を使う
ZCodeの事故は、ツールが作業フォルダ全体を読める権限を持っていたために起きました。ZCodeに限らず、エディタに常駐するAIツールは「どのフォルダを読むか」「何を送るか」を導入時に確認し、更新の案内が出たら早めに反映してください。ZCodeの該当機能はv3.14.0で削除され、ソースコードも公開されています。個人的には、「直ったから大丈夫」で終わらせず、常駐型のAIツール全般の設定を見直すきっかけにするのがよいと思います。
条件5. 脆弱性の発見は、自分のコードか許可された対象だけに使う
GLM-5.3の脆弱性発見は、自分が書いたコードの欠陥を事前に見つける用途なら強力な味方です。一方で、他人のサービスやシステムに対して試すと、日本では不正アクセス禁止法などに触れるおそれがあります。守りに使うための線引きを、自分の中で決めてから使ってください。
まとめ:GLM-5.3は「安くて強い」の裏に「安全策が外れている」を抱えたモデル
GLM-5.3は、オープンウェイトとしてはコーディング最高水準、脆弱性の発見ではMythos 5やGPT-5.6 Solに並ぶ数字を持ち、API料金はClaude Opus 5.5の数分の一です。同時に、その能力は安全策を外した状態で誰でも入手でき、Anthropicは92%の突破率を、CAISIは「最もサイバー能力の高いオープンウェイト」という評価を公表しています。
個人にとって大切なのは、使うか使わないかの二択ではなく、「何を入れるか」「どこで動かすか」「何に使うか」の3つを先に決めることだと思います。公開されても困らない範囲でまず試し、気に入ったら経路を選び直す。その順番なら、安さと性能を取りつつ、守るべきものは守れるのかもしれません。
よくある質問(FAQ)
Q1. GLM-5.3は無料で使えますか?
chat.z.aiでは無料で試せます。2026年10月9日時点では、ログインなしで開くと既定モデルがGLM-5.3-Flashでした。本体のGLM-5.3を定額で使うなら、GLM Coding Plan(Lite 月18ドルから)か、従量課金のAPI(入力100万トークンあたり1.4ドル、出力4.4ドル)が窓口です。重みも公開されているため、機材があれば手元で無料で動かせます。
Q2. GLM-5.3はClaudeやGPTより賢いのですか?
分野によります。Z.aiの公表値では、脆弱性発見のCyberGymでMythos 5やGPT-5.6 Solを上回る一方、Terminal-Bench 3.0やExploitBenchではClaude Fable 5やGPT-5.6 Solが上です。米国NISTのCAISIは、サイバー能力は米国のフロンティアモデルより「大幅に低い」と評価しています。「オープンウェイトの中では最上位、閉じた最先端モデルには一歩届かない」という理解が実態に近いと思います。
Q3. 中国製のAIに入力した内容は、中国政府に見られますか?
断定はできません。Z.aiの海外向けサービスはシンガポール法人が管理し、データは原則シンガポールで処理されます。ただしプライバシーポリシーには法執行機関や政府機関への開示規定があり、親会社は北京の企業です。日本の個人情報保護委員会がDeepSeekについて「国家情報法などが適用される」と情報提供した例もあります。見られて困る情報は入れない、という前提で使うのが現実的です。
Q4. AnthropicがGLM-5.3を問題視したのはなぜですか?
GLM-5.3が、Anthropicが限定公開にとどめているMythos Previewに近い水準で攻撃コードを作れるうえ、安全策が64〜100%の確率で突破でき、改造版が公開から数日で出回ったからです。Anthropicは2026年9月29日の分析で、政府による安全性テストや、防御側へのフロンティアモデル提供の拡大を提言しています。
Q5. GLM-5.3のライセンスで商用利用はできますか?
できます。GLM-5.3 Licenseは、使用・改変・配布・販売・ファインチューニングを認めるMIT型のライセンスです。追加条件は、モデルをサービスとして提供する事業者で連続12か月の売上が100億米ドルを超える場合に、Z.AIのセキュリティレビューが必要になる点だけです。個人や中小企業には影響しません。GLM-5.3-FlashはMITライセンスのままです。
Q6. GLM-5.3を自分のパソコンで動かせますか?
本体のGLM-5.3は総パラメータ753Bで、Unslothの目安では2ビット量子化でもRAMとVRAMを合わせて約245GBが必要なため、一般的なパソコンでは動きません。GLM-5.3-Flash(320B、アクティブ18B)でも2ビット量子化で約115GBが目安です。llama.cpp・Ollama・LM Studio向けのファイルはHugging Faceで公開されているので、メモリの大きいMac Studioなどを持っている人向けの選択肢です。
Q7. GLM-5.3とGLM-5.3-Flashはどちらを使えばよいですか?
性能を優先するなら本体のGLM-5.3、料金・速度・手元での実行を優先するならFlashです。Flashは画像入力に対応し、ライセンスもMITで、API料金は本体の1割程度です。無料のchat.z.aiで最初に触れるのもFlashなので、まずFlashで用途に合うかを確かめ、足りなければ本体に切り替える順番が無駄がありません。


