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製造業のAI活用度チェックリスト20項目|自社の現状を6分野で診断

製造業のAI活用度チェックリスト20項目|自社の現状を6分野で診断

製造業のAI活用度チェックリストとは、自社のAI活用の現状を、経営・体制・データ・業務・ルール・効果測定の6分野、20項目の「はい/いいえ」で自己診断するものです。公的機関が公開しているAI活用度専用の診断指標は、今回確認できませんでした。このチェックリストはZIDAIのオリジナルで、各項目の観点は、DX推進指標(経済産業省・IPA)やAI事業者ガイドラインなど、公的資料の考え方を参考にしています。

IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」では、AIを「導入している」企業は、従業員101〜300人で36.4%、301〜1,000人で52.6%です。試験利用を含めると、それぞれ56.9%、75.3%になります。導入の有無だけでは、活用の中身は分かりません。20項目で、整っている分野と足りない分野を見ます。

この記事でわかること

  • 経営・体制・データ・業務・ルール・効果測定の6分野、20項目のチェックリスト
  • 「はい」の数の見方と、分野別の次の一手
  • IPAなどの調査で分かる、製造業のAI導入の現状の目安

製造業のAI活用度は、どうやって診断するのか?

公的な診断としては、経済産業省とIPAの「DX推進指標」があります。2026年2月に改訂され、デジタルガバナンス・コード3.0の5つの柱(経営ビジョン・ビジネスモデルの策定、DX戦略の策定、DX戦略の推進、成果指標の設定・DX戦略の見直し、ステークホルダーとの対話)に対応した設問で、自社の成熟度を0〜5のレベルで確認します。

DX推進指標は、AIに限らないDX全般の診断です。ガイダンスは、指標は課題を明確にして具体的なアクションにつなげる手段で、高いレベルの達成そのものを目的にしないよう求めています。中堅・中小企業には、重要な課題でレベル2からレベル3、またはレベル3からレベル4を目指すなど、段階的に取り組むことが有効だとしています。

AIの活用に絞って、短時間で確認できる形にしたのが、次の20項目です。

IPAの「DX推進指標」のページ。経済産業省とIPAが公開している、DXの自己診断の案内
IPA「DX推進指標」のページ。経済産業省とIPAが公開している、DXの自己診断の案内(出典: IPA(独立行政法人情報処理推進機構)、2026年9月20日に閲覧)
項目DX推進指標この記事のチェックリスト
発行・作成経済産業省・IPA(2026年2月改訂)ZIDAIのオリジナル
対象DX全般AIの活用
形式5つの柱に対応した設問と、成熟度レベル0〜56分野、20項目の「はい/いいえ」
位置づけ公的な自己診断公的資料の観点を参考にした簡易診断

数字で見る現状:AIの導入は進んでいるが、規模と業種で差がある

調査対象導入している試験利用している
IPA「DX動向2026」(2026年7月30日)従業員100人以下(n=583)16.6%10.5%
IPA101〜300人(n=448)36.4%20.5%
IPA301〜1,000人(n=384)52.6%22.7%
IPA1,001人以上(n=378)78.3%11.1%
IPA業種「製造業等」(n=733)45.2%16.0%
中小機構(2026年3月)中小企業の製造業(n=196)16.4%(導入率。全社的2.6%、一部の業務13.8%)集計なし
IPAの調査で、従業員規模別のAIの導入状況。導入している割合は、100人以下16.6%、101〜300人36.4%、301〜1,000人52.6%、1,001人以上78.3%
従業員規模別のAIの導入状況。製造業に限らない国内企業が対象(出典: IPA「DX動向2026」(2026年7月30日)図表3-4をもとにZIDAI作成、2026年9月20日に閲覧)

数字は調査ごとに対象と定義が違うため、そのまま比べられません。IPAの「製造業等」は、農林漁業、鉱業、建設業、電気・ガス・熱供給・水道業を含む区分です。中小機構の調査は、従業員30人以下が8割超の中小企業で、AIの導入率は「全社的に導入」と「一部の業務で導入」の合計です。自社の規模に近い行を、目安として見てください。

製造業のAI活用度チェックリスト20項目

各項目に「はい」か「いいえ」で答えてください。迷う場合は「いいえ」にします。項目は6分野に分けています。

AI活用度チェックリストの6分野と項目数。経営・戦略3項目、体制・人材3項目、データ3項目、業務への適用4項目、ルール・セキュリティ4項目、効果測定・見直し3項目。ZIDAIのオリジナル
AI活用度チェックリストの6分野と項目数。ZIDAIのオリジナルで、観点はDX推進指標やAI事業者ガイドラインなどを参考にした

A. 経営・戦略(3項目)

No.確認する項目観点が重なる公的資料
1AIを何のために使うか(作業時間の削減、品質の安定など)を、経営層が言葉にできているDX推進指標の柱1・2。ガイダンスは、価値が不明確なまま技術起点で議論が始まることを課題に挙げている
2AIの活用を、経営計画や年度の目標に位置づけ、予算と時間を確保しているDX推進指標の柱3-1(組織づくり)。AI事業者ガイドラインは、ガバナンスを先行投資として捉えるとしている
3経営層が、AI活用の進み具合を定期的に確認しているDX推進指標の柱4。AI事業者ガイドラインは、経営層の責任が大きいとしている

IPAの調査では、DXに全社的に取り組む企業(n=640)は、AIを導入している割合が70.8%で、DXに取り組んでいない企業(n=385)の7.1%を大きく上回ります。

B. 体制・人材(3項目)

No.確認する項目観点が重なる公的資料
4AI推進の責任者と、実務の担当者が決まっているDX推進指標の柱3-1(組織づくり)。IPAの調査で、AIを導入・試験利用・検討している企業のリーダーはIT部門の長が46.0%、経営層が32.1%
5AIの使い方を学ぶ機会(研修や勉強会)を、社員に用意しているAI事業者ガイドラインの「教育・リテラシー」。IPAの調査で、AIの課題は「専門人材の不足」が50.1%
6社内にAIに詳しい人がいない場合の相談先(外部の専門家や支援窓口)があるDX推進指標のガイダンスは、外部支援の活用が有効としている

C. データ(3項目)

No.確認する項目観点が重なる公的資料
7AIに使うデータ(図面、検査記録、日報など)の保管場所が分かっているDX推進指標の柱2(データの整理・管理・活用)
8データの形式や入力のルールがそろっていて、抜けや表記のゆれが少ないAI事業者ガイドラインの利用者向け項目(正確性・最新性のあるデータの入力)。IPAの調査で、課題は「データの形式や質のばらつき」が29.2%
9機密情報や個人情報を含むデータを、AIに入れてよいものと入れてはいけないものに分けているAI事業者ガイドラインの利用者向け項目(個人情報、機密情報の入力)

IPAの調査では、AIの学習データを「整備しており、AIに活用している」企業は7.0%にとどまります(AIの導入効果を答えた企業、1,192社)。

D. 業務への適用(4項目)

No.確認する項目観点が重なる公的資料
10AIを使う業務を、1つ以上に絞って決めているDX推進指標の柱2
11その業務の担当者が、AIを使う場面と手順を理解しているAI事業者ガイドラインの「教育・リテラシー」
12基幹システムや生産管理システムなど、既存のシステムとデータをやり取りする方法を検討しているDX推進指標の柱3-3(ITシステム・サイバーセキュリティ)。既存システムやデータが生成AIなどと連携できているかを問う設問がある
13設計、生産管理、調達など、現場に近い部署でも、AIを試しているIPAの調査で、生成AIの利用部署は、ITシステムが71.9%、製造(設計・生産管理を含む)が35.7%

E. ルール・セキュリティ(4項目)

No.確認する項目観点が重なる公的資料
14生成AIの利用ルール(入力してよい情報、使ってよいツール)を文書にしているIPAの調査で、AIを導入・試験利用・検討している企業のうち、全社的なガイドラインやルールを定めている企業は32.5%、どちらも定めていない企業は16.7%
15AIの出力を、人が確認する手順を決めているAI事業者ガイドラインの利用者向け項目(出力の精度とリスクの理解)
16使っているAIサービスの利用規約とデータの取り扱い(入力が学習に使われるか)を確認しているAI事業者ガイドラインの利用者向け項目(提供者の規約の遵守)
17AIを使っていることを、取引先や顧客に説明する必要がある場面を把握しているAI事業者ガイドラインの利用者向け項目(関係者への情報提供と説明)

利用ルールの決め方は、生成AIの社内利用ルール、経営者が最低限決めておくべき7項目【記載例つき】で解説しています。

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F. 効果測定・見直し(3項目)

No.確認する項目観点が重なる公的資料
18導入前の作業時間や件数など、比べる基準の数字を測っているDX推進指標の柱4
19AIの効果を測る指標(作業時間、件数、やり直しの数など)を決めているDX推進指標の柱4。IPAの調査で、DXの成果指標を設定している企業は23.9%(DXに取り組む企業)
20定期的に、続ける・変える・やめるを見直す場があるDX推進指標の柱4(DX戦略の見直し)

診断結果の見方:「はい」の数と、分野別の次の一手

「はい」の数を数えます。次の目安は、ZIDAIが考えたもので、統計にもとづく基準ではありません。

「はい」の数状態の目安まずやること
0〜5準備の前Aの1・2とBの4を先に決める
6〜10一部で始まっている対象業務を1つに絞り、DとFを整える
11〜15広げる段階EとCを整えて、対象業務を増やす
16〜20定着に向かう段階Fの見直しを回し、成果を確かめる
チェックリストの結果の見方。「はい」の数が0〜5は準備の前、6〜10は一部で始まっている、11〜15は広げる段階、16〜20は定着に向かう段階。ZIDAIの目安で、統計にもとづく基準ではない
「はい」の数の見方。ZIDAIの目安で、統計にもとづく基準ではない

点数より、分野ごとのばらつきを見ます。「はい」が1つもない分野があれば、そこから手をつけます。

分野「はい」が少ないときの次の一手
A. 経営・戦略AIで何を良くしたいかを、1文で書く
B. 体制・人材責任者を1人決め、相談先を1か所見つける
C. データ対象業務で使うデータの保管場所と形式を一覧にする
D. 業務への適用対象業務を1つ選び、使う場面と手順を書く
E. ルール・セキュリティ入力してよい情報と、いけない情報を分ける
F. 効果測定・見直し対象業務の今の作業時間や件数を測る

AI導入全体の進め方は、生成AI導入は何から始めるべきか?経営者の最初の90日でやること7つにまとめています。

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まとめ

製造業のAI活用度は、導入しているかどうかより、経営、体制、データ、業務、ルール、効果測定の6分野が、どこまで整っているかで見えてきます。この20項目は公的な診断ではなく、ZIDAIのオリジナルです。点数を上げること自体を目的にせず、「はい」が少ない分野の次の一手を決めるために使ってください。

「診断の結果、どこから手をつけるか決めきれない」「社内に推進する人がいない」という場合は、ZIDAIのAI推進室が、社内のAI推進部署の機能を外部から担います。まずは、「はい」が少なかった分野を1つ選び、次の一手を今週中に決めてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. このチェックリストは、公的な診断ですか?

いいえ。ZIDAIのオリジナルです。公的な自己診断としては、経済産業省とIPAのDX推進指標がありますが、AI専用ではなくDX全般が対象です。

Q2. 何点なら、AI活用が進んでいると言えますか?

決まった基準はありません。表の目安はZIDAIが考えたもので、統計にもとづくものではありません。点数より、「はい」が少ない分野を見つけて、次の一手を決めるために使ってください。

Q3. 製造業のAIの導入率は、どのくらいですか?

調査によって異なります。IPAの調査で、業種「製造業等」は、導入している企業が45.2%、試験利用が16.0%です(n=733。建設業などを含む区分)。中小機構の調査で、中小企業の製造業の導入率は16.4%です(n=196)。対象と定義が違うため、自社の規模に近い数字を目安にしてください。

Q4. 従業員が少ない会社でも、使えますか?

使えます。ただし、項目のうち体制・人材の一部は、専任を置くのではなく、責任者を1人決める形で「はい」にできます。IPAの調査でも、従業員100人以下の企業で、AIを導入している割合は16.6%、試験利用は10.5%です。

Q5. 「いいえ」が多かったら、AIを導入しないほうがよいですか?

そうとは限りません。「いいえ」は、これから整える項目を表します。まず、A・B・Fの「いいえ」を「はい」に変えてから、小さな業務で試す進め方があります。

Q6. 診断は、どのくらいの頻度で行えばよいですか?

決まった頻度はありません。ZIDAIの見立てでは、対象業務を増やす前や、半年ごとなどの区切りで見直すと、変化が分かります。

この記事を書いた人
ZIDAI Notebook 編集部

新規事業開発支援、生成AIを活用したDX支援を実施する株式会社ZIDAIの事業開発、AI情報メディア「ZIDAI Notebook」。 多くの事業開発やAIを活用した開発を行ってきたBizDev、エンジニアの監修の元、情報をお届けします。

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